本文へ移動

スタッフブログ

スタッフブログ

江戸の趣味人が熱狂した雅なる観葉植物

2023-09-11
 こんにちは、平井です。
 暑さ寒さも彼岸まで……というのは過去の話でしょうか。
 仙台でも、もうしばらくは暑い日が続きそうですね。
 皆様熱中症には十分気を付けてください。
 
 
 ところで皆様、NHKで放送中の大河ドラマ『どうする家康』はご覧になっていますか?
 
 
 主人公で初代将軍の徳川家康、第2代将軍の秀忠、第3代将軍の家光は大の花好きで、この3人は「花癖将軍」などと呼ばれることがあります。
 戦国武将にも様々な趣味があり、織田信長は鷹狩り・茶の湯・相撲、豊臣秀吉は能楽、上杉謙信は刀剣集めなどが有名ですが、徳川家康は園芸を趣味としていました。
 そのため、江戸場内には花畑があり、幕府には花畑を管理する吹上奉行(吹上花畑奉行、吹上御花畑奉行ともいう)という役職がありました。
 江戸城内奥庭である、吹上の庭園一切に関することをつかさどったとのことです。
 扶持二百石高というので、会社だと下位役職クラスといったところでしょうか。
 地方より献上された珍しい植物や盆栽・庭木・鉢物の手入れの指揮が仕事でした。
 
 
 園芸好きの徳川家康が特に好んだのが、観葉植物の「万年青」(おもと)です。
 緑と斑の縞模様、表面の筋やねじれ……。
 平和があって初めて文化や芸能が成長するといわれるように、江戸時代は園芸が大きく発展します。
 徳川家康が1603年に征夷大将軍に任官されてから、太平の世が訪れた江戸時代、園芸は国民的ブームを巻き起こしたのです。
 江戸の趣味人たちは、小ぶりな「万年青」が見せる葉のさまざまな変化(葉芸)に夢中になりました。
 その熱狂ぶりは今日の観葉植物や多肉植物ブームを凌ぐほどです。
 
 
 
※日本おもと協会HPより 令和5年萬年青銘鑑
  
  
    
「万年青」とは、日本に自生するスズラン科の多年草で、一年を通して豊かな美しい緑色を保つことから、「枯れない=繁栄」と位置づけられ、古くより縁起物とされてきました。
 現在でも、引っ越しの際に縁起物として「万年青」を贈る「引っ越し万年青」という風習があります。
 
「万年青」は宮城県を北限に本州、四国、九州に自生しています。
 観葉植物としてわが国独自の感性で改良されてきた日本を代表する古典園芸植物で、日本の気候、風土によく合い、順応性が高く丈夫で、初心者にも育てやすい植物です。
 
 
 1606年、徳川家康が江戸城本丸に入城する際、三河国の「長嶋長兵衛」から、江戸城本丸が完成した祝いの品「天福の霊草」として、植物3鉢が献上されました。
 その植物が、「万年青」でした。
 家康はこの「万年青」を大変気に入り、床の間に飾ったといいます。
  
 
 そこから「万年青」の流行が始まったといわれています。
  
 
 第1次「万年青」ブームが起きたのは、元禄期。
 江戸城の床の間を謁見した大名や旗本、財力があった商人が、「万年青」に興味を持ち、こぞって買い求めました。
「万年青」の新葉の形や斑の変化を楽しむ「葉芸」という文化が生まれ、江戸や京都の大名や旗本たちのあいだで親しまれました。
 縁起が良い植物だと、引越し祝いや新築祝いの品として「万年青」は贈られるようになったそうです。
 
 
 第2次「万年青」ブームは、享保期。
 全国から珍しい変異株が集められて栽培が行われ、品種改良が進みます。
 記録によると1735年には斑入り種が生まれています。
 品評会が全国各地で開催され、「万年青」専用の鉢が作られるのはもちろん、鮮やかな絵付けがされた錦鉢など、鉢にも贅が尽くされました。
 
 
 そして第3次「万年青」ブームは、文政から天保期。
 美しく珍しい逸品は、一芽に百両~三百両(現在の500~1,000万円相当)、果ては二千三百両(現在の一億円相当)が付くほど加熱。
「万年青」は金のなる木とまで呼ばれ、暇と場所を持つ旗本の次男三男、僧侶などは、一攫千金を夢見て狂奔します。
 本業よりも「万年青」の栽培の方が儲かると、西ではモノづくりや商いが疎かになり、幕府は「万年青」の販売禁止令を発令しなくてはならないほどでした。
  
  
 最後の「万年青」ブームは明治時代。
 明治10~15年ごろに最後にして最大のブームが起こります。
 販売禁止が解除され、取引の中心が武士階級から富裕階層にうつったというのもあり、京都を中心に狂乱的なブームとなりました。
 競うように「万年青」 の取引がなされ、米が1俵5円前後の時代に、「万年青」は1鉢1,000円(現在の一億円相当)ということもあったそうです。
 あまりの白熱ぶりに、「万年青」は再び売買が禁止されることになります。
  
 
 その後、現在に至るまで何度かのブームを繰り返しながら、品種改良が進み現在では1000種余り。
 古典園芸植物の中で、現在でも高い人気を保っています。
 
 
 
 
 
 
「万年青」の見どころは、葉芸(葉の変化)、斑(模様)、そして大きさです。
 これらが組み合わさりさまざまな品種がつくられています。
 まず葉がくるくると巻く獅子、表面が隆起する雅糸龍(がしりゅう)、つけ根がきれいに重なる襟組みなどの葉芸。
 縞柄と葉縁を覆輪が同時に入る縞覆輪、白い筋状の模様が入る千代田斑、つけ根は柔らかな黄色で葉先にいくにしたがい緑色になる曙斑などの葉の斑。
 そして葉の大小により大葉種、中葉種、小葉種があり、粋な魅力が集まっています。
 
 
 日本の伝統植物の多くは植える鉢にもたいへんこだわりますが、「万年青」も鉢と調和させる楽しみがあります。
 伝統的な錦鉢と合わせて格調高く飾るもよし、モダンな鉢や鉢カバーで現代的にアレンジするもよしとオモトの懐の深さを感じます。
 年間を通じて観賞する観葉植物ですが、冬には赤や朱色の実も楽しめます。

 
 日本原産だけあって意外と丈夫で、手入れもあまり必要ないので気軽に試せる観葉植物です。
 観賞用の鉢植えだけでなく地植えも可能です。
 地植えの場合は、直射日光の当たらない半日陰の場所に植えてください。
 シェードガーデンに植える個性的な植物をお探しの方にお勧めですよ!
株式会社高橋造園
本社
〒984-0802
宮城県仙台市若林区
八軒小路5番地
TEL:022-227-0243
FAX:022-266-1193
------------------------------
六郷事務所
〒984-0845
宮城県仙台市若林区
二木笠神37-2
TEL:022-794-9825
FAX:022-794-9826
TOPへ戻る